冬島さん&東さんおたおめ!
当日に間に合わないといったところ「寝るまでが3日だから!」
と言われましたが!
長くなりすぎた終わらない!
ので前後編にします!
※冬東 になる予定。
※黒トリ争奪戦後の時間軸。
一歩進めば、相手も進む。
近づくことも、離れることもない。
そんな関係が、ずっと続くのだと思っていた。
1月3日。
世間的には三が日最終日の印象が強い日に生まれた冬島と東は、
ここ数年どちらかの家でその日を迎えるのが通例となっていた。
特に大きな理由があったわけではなかった気がする。
何かのきっかけで誕生日が同じ日と判明し、じゃあ一緒にという流れになり、
そのまま「だらだら飲みつつ当日を迎えプレゼント交換」という形が定着した。
プレゼントに関しては「正月に押されて忘れられがちな誕生日感が欲しい」という
冬島の希望によるもので、釣り用のルアーやらゲームのコントローラーやらの
互いの趣味の範疇の贈り物が常であった。
この年は東の自宅で開催の運びとなり、いつものように正月特番をBGMに
他愛もない話をしながら酒を飲んでいた。
「あ、つまみなくなった」
「何か作って下さいよ冬島さん」
「お前それ客にやらせる?」
「客だと思ってないんで。冷蔵庫にそろそろ期限のもやしとかあるんでそれで」
「わーお前完全にこたつから出る気ないな?」
しょうがねえなあ、などと言いつつ冬島が台所に立つ。
「あらやだ野郎の割にちゃんと食材入ってるじゃないの東ちゃーん」
「何ですかその口調」
「諏訪んちなんかビールしか入ってないからなー」
「たまにタッパー入ってますよ」
「おふくろさんのか」
「木崎のですね」
「あいつはいつから諏訪のおふくろになったんだ。知ってたけど」
軽快なやり取りののち、包丁の音が聞こえはじめる。
年長者扱いが多い東にとって多少の軽口も我儘も交わせる冬島という存在は貴重なものだった。
(……煙草)
東は普段煙草は嗜まない。
喫煙者の多い諏訪隊作戦室での麻雀会でも吸う様子は見せない。
かといって一人の時に吸うわけでもなく、
彼がその嗜好品に手を出すのは冬島と2人の時だけだ。
(大体ポケットに入れっぱなしだよな……)
いつものように遠慮なく冬島のコートのポケットを漁る。
固い感触のものが触れたので特に疑問も持たず引っ張り出したそれは。
「……箱?」
綺麗にラッピングを施された、小さな立方体。
さほど重くはないそれの正体はすぐに推察できた。己にはついぞ縁のないものだったが。
(指輪、だろうな)
よく考えずとも冬島もいい年である。
モテないモテたいと騒いではいるがボーダーの防衛隊員、
エンジニアとしても優秀とあれば傍から見ればかなりの好物件である。
「そういう」相手がいたところでなにもおかしくはない。
大方クリスマス辺りに向けて用意したものの
今回の遠征の後処理やらで渡すタイミングを逃した、というところだろう。
だからそれは、まったくおかしくない話なのだが。
「……」
何故か見ていられなくて、そっとポケットに戻した。
煙草は見つからなかった。
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