何年ぶりだよ！6年ぶりだよ！？
そしてジャンルは変遷した。
そう戦国から最新型SFアクションへ（飛躍がすごい）
という訳でワールドトリガーです。
無料につられて読み始めて沼に突き落とされた白夜です、
犯人はト（途切れるダイイングメッセージ）
・途中までの知識しかない
・キャラは崩壊するもの
・推しは出張るもの
以上ご理解いただける方のみどうぞ。
（見えなかったとしても）林忍です！
＊＊＊＊＊
「……ほんっとあいかわらずだなお前……」
山と積まれた書類の向こう側。
呆れる様な溜息と共に掛けられた、聞き慣れた声。
「林藤か」
一瞬だけ視線を動かすもすぐに手元の書類へ。
「仮眠は取っている、問題ない」
「ほー、ほぼ同じ台詞を俺ぁこいつを貰った3日前にも聞いたんだがなぁ？」
ひらひらと振られた封筒が山の頂上へ舞い降りた。
「この量だぞ？悠長なことを言っていては今日の会議に間に合わん」
「そりゃそうなんだけどな、俺としちゃあんまり無理してほしくないんだよ」
「分かっている、会議が終わったら休むつもりだ」
目を通し終えた書類に判を押し、漸く顔を上げたところで
正面にいたはずの林藤がいないことに気づく。
「……林藤？」
「隙あり」
頭上から声が降る。振り返る間もなく背後から抱きすくめられた。
「っ！？」
急な展開に思考が追い付いてこない。
自宅ならいざ知らず、ここは本部長室である。しかも真っ昼間の。
あまりの事態に動けないでいるのをいいことにネクタイを緩められ、
肩口に軽く歯を立てられる。
――あんま油断してると本当に食っちまうぞ、『真史』？
至近距離での囁き。
最後にちゅ、とわざわざ音を立てて首筋に口付けられてから解放された。
「っ、匠！」
「おっと」
振り向きざまの拳は寸でのところで躱される。
「避けるな！」
「お前が万全じゃないから当たらないんだろ？」
「そういう問題じゃ、」
「俺相手とはいえ簡単に背後をとらせるのも問題だな。
その状態で会議に出るつもりか？只でさえ今回は頭働かせなきゃならんのに。それとも何だ、添い寝でもしてほしいか？」
「～～～お前な！」
「はっはっは、んじゃ可愛い番犬が帰ってくる前に退散するかね！」
また後でな、と退室する林藤とほぼ入れ違いで太刀川が飛び込んでくる。
「うっわほんとにいた！忍田さん何日家に帰ってないの！」
いくらなんでも仕事しすぎじゃない？と騒ぐ弟子をあしらいつつ
林藤が出て行った扉を睨み付ける。
「……慶」
「ん、なに？」
「会議まで仮眠をとる。30分前になったら起こしてくれ」
「おっ了解！」
「……寝るなよ？」
「寝ねえよ！？」
子供扱いするなと騒ぐ声をBGMに、来客用のソファに横になった。
「――では本日の会議はここまでとする。解散」
「お疲れ様です」
「お疲れさーん」
終わった終わった、と軽口を叩きつつ林藤が真っ先に会議室を後にする。
大きく息を吐き資料を纏めていた忍田に城戸が声を掛けた。
「……忍田本部長」
「はい？」
「寝癖」
「っ、すみません」
慌てて髪に手をやるその姿を何とはなしに眺めていた唐沢だったが、
ふと違和感を覚え目を凝らす。
首元に、僅かばかり。見えるか見えないかの絶妙な位置に。
「本部長」
「？何か、」
訝しむような忍田に唐沢は笑み返してとんとん、と自らの首筋を叩いて見せる。
数秒の間。
「……！？」
その仕草の意図と原因に思い至ったのか忍田が即座に首筋を押さえる。
それはもう、傍から見ても分るほどに真っ赤になって。
「絆創膏いります？」
「……林藤支部長！！！」
にこにこと追撃の爆弾を投げ込んだ唐沢には答えず、
会議室を飛び出していった。ご丁寧にトリガーを起動して。
「ふむ、ノーマルトリガー最強の男といえど色恋沙汰には弱いと」
彼も人の子だったんですねえ良かった良かった。
呑気な感想がつい口を突く、その横で。
「全くあのやんちゃ小僧達は……」
眉間を押さえて溜息を付く城戸。なんだどうしたと困惑気味の鬼怒田と根付。
それぞれの反応を愉しげに見物していた唐沢が、ふと窓の外に目をやる。
不穏な情勢など関係ないと言わんばかりの、抜けるような青空。
「本日も晴天なり、所によって嵐となるでしょう、か」
廊下から微かに聞こえる破壊音。
鬼怒田が顔色を変えて飛んで行ったのを見送り、
恐らく発生するであろう修繕費を稼ぐべくコートを手に外回りへと向かった。
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