間に合えバレンタイン!ということで。
超久々に更新です!
戦国BASASA3 家康×三成
続きからどうぞー。
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2月も半ばにさしかかろうという頃。
街はチョコレートブラウンとピンクに彩られ、ある者は期待と不安に胸を膨らませ
またある者は呪いの言葉を吐く、そんな季節。
豊臣モータース所属石田三成は、
大変不機嫌であった。
元よりお世辞でも愛想や愛嬌に富んでいるとは言えない三成であるが、ここ最近は明らかに態度がおかしい。
眉間に皺が寄りっ放し。視線で人が殺せそうになっている。気が付くと「斬滅」などと呟いている。
流石に仕事に支障はきたしていないものの、周囲にとっては迷惑この上ない。
一刻も早く不機嫌の元凶を取り除きたいのだが……
「家康さん!この前頼まれていたもの持ってきましたよ♪」
「おぉ、済まないな、ありがとう。また日を改めて礼をさせてくれ」
元凶は新たな火種をばらまいていた。
徳川家康。
石田三成の(社内では知らぬ者のない)恋人である。
人当たりがよく部下の信頼も厚い彼だが、どういうわけかこのところ受付嬢の鶴姫と話しているところが
よく見かけられている。
そしてこのとき、2人が話している休憩室の前をたまたま三成が通りかかった。
楽しげに談笑する恋人と社内でも可愛いと評判の受付嬢。
「あ、三成さん!?」
「おう三成、どうしたそんなところに立って」
入ってくればいいだろうと声を掛けた家康は、
「それでは私は失礼しますね~」
入れ違いに退室した鶴姫を「内緒」とでも言わんがの如く人差し指を口に当てて見送った。
その後の休憩室がどうなったかは想像に難くないだろう。うっかり足を踏み入れた不運な男に
飛んできた灰皿がクリーンヒットしたらしいが、それはまた別の話。
といった大喧嘩から数日。
三成の機嫌は更に悪くなる一方であり、ようやく訪れた週末に涙を流して感謝するものまで出たほどである。
不平不満を仕事にぶつけたおかげか、予定よりも早く帰ることができるようになった。
(……帰りたくない)
帰れば同棲中の家康と嫌でも顔を合わせることとなる。お互い仕事が忙しかったので2人して家にいる時間は長くなかったが、週末ともなればそうはいかないだろう。
気まずい。非常に気まずい。
そんな思いを抱えつつ自宅のノブに手を掛けた三成は、違和感に気づき眉を顰めた。
鍵が開いているのだ。
こんな早くに家康が帰ってきているとは思えない。となると……
(強盗か)
普通ならここで警察を呼ぶところだが、あいにく三成の思考は普通ではなかった。
「人の家に押し入ろうとはいい度胸だ……斬滅してくれる!」
勢いよくドアを開け傘立てに突っ込まれていた木刀(護身用)を掴みリビングに突入した三成が見たものは。
「……家康?」
「み、三成!?お前どうしてこんなに早くっ……」
綺麗に整えられたテーブルと中央に鎮座するチョコレートの数々。そして心底驚いた顔をした恋人の姿だった。
「で、どういうことだ」
ソファに座り、説明をしろ説明を、と憤る三成。
「そもそもなぜこんな時間に家にいる」
「あぁ、午前で終わらせて半休をとった。今日はバレンタインだろう?ワシからのプレゼントだ」
「……これをか?」
「うむ。勝手がわからなかったのでな、鶴姫に相談したら色々と本やら道具やら貸してくれることになってな」
「……」
休憩室でのやり取りはそういうことだったのか。思い切り脱力する三成に、家康が声を掛ける。
「……三成」
「なんだ」
「もしかして妬」
言い切る前に顔面に飛んできた木刀を受け止める家康。
「ああほら危ないだろう投げたら。窓が割れたらどうする」
「知るか!大体貴様は……!」
文句を言おうとした三成の目に、傷だらけの指が写った。
「しかしこんなに早く帰ってくるとは予想外だったぞ、まだ作業中のものもあるのだがどうするか」
「……私がやる、貴様はそこで座ってみていろ」
これ以上傷を増やされて仕事に障りが出たら秀吉様のご迷惑になるだろうが。
そういって立ち上がり、家康の横を抜けて足早に台所に向かった。
その背を見送り、家康が呟く。
「……普通に『ありがとう』と言えないものかな……まあ、そういうところが三成らしいが」
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誰だお前ら……キャラがぶれてる気がしないでもない気が……
まあとりあえずバカップル爆発しろよ!(いい笑顔)
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コメント
公然の秘密カップルの大喧嘩に巻き込まれる不運男に目頭が熱くなりましたが、気まずい思いを抱えて帰りたくないとか言っちゃう三成にキュンキュンして全て飛んで行きました。かわいいのに男前だぞ三成!>木刀(護身用)
愛し愛され感溢れまくってて、実に、末永く爆発しろという気持ちになりました。本当にありがとうございます。